ふんわり王子と甘い恋♡
「ぁ、……ぇ、と……」
まさかフワリくんがすぐ後ろを歩いているなんて、思わなくて……言葉に詰まる。
前を歩くみんなは、どんどんどんどん、進んでく。
「……どし、た?」
「、…」
薄暗闇に立ち止まる、謎の2人が出来上がった。
「、……忘れ物、した、ので……」
「……。」
「取って、き、……マス……」
気づいたのは、多目的室に忘れてきたお弁当箱。
持って帰らなきゃお母さんに怒られるから、取りに戻るしかない。
もりりんの話を思い出して、怖いけど。
急いで行って急いで戻れば、大丈夫。
怖い……けど。
「、いいよ、行こ?」
「ぇ、」
「怖いん、でしょ、?」
「、…」
一緒に、行ってくれるって、こと?
「、スミマセン…」
「うん。」
薄暗い廊下を、2人で引き返す。
誰もいない5階は本当に静かで……ほんとに不気味。
でも……隣を歩くフワリくんに、ドキドキするから。
幽霊も、こんなにドキドキしてる私の前には、出てこないんじゃないかって、思うくらい。
ドキドキが……すごすぎる。
だってこんな風にフワリくんと2人で歩くのは、体育祭以来。
2ヶ月ぶりの、隣同士……