フヘンテキロマネスク
「ちょっと無視はやめてよ、お兄さん悲しいな〜」
「…………」
「おーい、聞いてる?」
頑なに前を向いていれば、ずい、と顔を覗き込まれて引いてしまった。……早く信号変わんないかな。そう願っていれば、やっと青に変わってホッとする。こんなに信号が変わって嬉しかったことなんてはじめてだ。
「って、ちょいちょいちょい」
「……もう、なんなんですか」
歩きだそうとしたのに腕を掴まれて引き留められてしまって、そろそろうんざりしていたからつい答えてしまった。まさかここまでしつこいなんて。
「あ、やっと話してくれた〜!俺さぁ、今日友達にドタキャンされちゃって暇なんだよねぇ。だから付き合ってよ。俺ひとりじゃさみしくてご飯食べられない」
「……私、高校生なので」
「制服着てるの見たらわかるって。別にお酒飲めとは言ってないし。もちろん奢るからさ、どう?」
まったく食い下がってくれない男に、どうすればいいのかわからなくて困り果てる。周りの人も信号が青なのに渡らずに立ち止まったまま押し問答を繰り広げている私たちを不躾に見ては、すぐに何食わぬ顔で目を逸らして通り過ぎていってしまう。
「…………」
「おーい、聞いてる?」
頑なに前を向いていれば、ずい、と顔を覗き込まれて引いてしまった。……早く信号変わんないかな。そう願っていれば、やっと青に変わってホッとする。こんなに信号が変わって嬉しかったことなんてはじめてだ。
「って、ちょいちょいちょい」
「……もう、なんなんですか」
歩きだそうとしたのに腕を掴まれて引き留められてしまって、そろそろうんざりしていたからつい答えてしまった。まさかここまでしつこいなんて。
「あ、やっと話してくれた〜!俺さぁ、今日友達にドタキャンされちゃって暇なんだよねぇ。だから付き合ってよ。俺ひとりじゃさみしくてご飯食べられない」
「……私、高校生なので」
「制服着てるの見たらわかるって。別にお酒飲めとは言ってないし。もちろん奢るからさ、どう?」
まったく食い下がってくれない男に、どうすればいいのかわからなくて困り果てる。周りの人も信号が青なのに渡らずに立ち止まったまま押し問答を繰り広げている私たちを不躾に見ては、すぐに何食わぬ顔で目を逸らして通り過ぎていってしまう。