フヘンテキロマネスク
「真咲、」



ふいに名前を呼ばれて、さっきまでカフェで考えていたことを思い出す。気持ちを整理するときに、考えていたこと。



『真咲って名前を見た時、俺は自分を偽らない真の姿で咲く、ってイメージ持ったよ。だから強がったりしなくてもそのまま、ありのままでいればいいと思う』


『だから俺は真咲が真咲でいられるように名前を呼ぶよ』



保科くんと別れた直後に、『真咲』って呼ばれると強がってしまうと言った私に、鈴本くんが言ってくれた言葉。その言葉に救われたのは紛れもなく本当で、鈴本くんに名前を呼ばれる度に、心がぽかぽかする。


でもその一方で、ふいに顔を出す違和感があったのも本当。



「もう、『くる』とは呼ばないの?」

「…え?」



真咲って呼ばれるのが当たり前みたいになって、鈴本くんがやたらと上書きにこだわるのを見て、すこしモヤモヤしていた。
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