フヘンテキロマネスク
「えっ!待ってその反応まじで!?ごっめん私冗談のつもりっていうか、」
私以上に動揺する日菜は、否定するように顔の前で両手をぶんぶん振る。そんなに慌てられると私までどうしていいかわからなくなる。
「別にそんな気使わなくて大丈夫だよ」
「えー?ほんとに?でもわりと吹っ切れた顔してるね」
「うん。だから心配しないで」
「ならよかった。でもなんか吐き出したかったら言ってよね」
日菜がいつもの顔に戻ったのを見てホッとする。
よかった、ちゃんと取り繕えているみたいで。余計な心配はかけたくないし、ひとりでいるときはどうしても思い出してしまう分、誰かといるときは忘れていたかったから。
それに、心に整理がついてないから話すにも話せない。
どうしたって心の中は矛盾ばかりで、相反する感情が交互に押し寄せてくる。
忘れたい、忘れたくない。嫌いになりたい、嫌いにはなりたくない。
矛盾なんてなく、ぐちゃぐちゃに掻き回されることもない、すっきりとした気持ちでいられたならきっと楽なのに。
ぐちゃぐちゃ色んな感情が入り交じってるから、私は何を大切にするべきなのかわからずに、迷子のようになってしまっている。