フヘンテキロマネスク
教室の鍵を借りるために職員室に向かおうと、空き教室が連なってる廊下を歩いていれば、ふいにポロロロロンとピアノの音が聞こえてきて、思わず足が止まった。
……今のって、うちのクラスの課題曲?
耳を澄ますようにドアに近づけば、突如音が止んで。
その代わりに、「うう、」と情けない声が聞こえてきた。
「……なんで私、できるとか言っちゃったんだろう。ピアノとか小学生以来触ってないのに……、あ〜むり絶対むり。3日でとか無理だよ」
はあああ、とそれはそれは深い溜息を吐く。
弱々しい声にさすがに気の毒になって、このまま見て見ぬふりするのも冷たいかな、と思って声をかけようかとドアに手を伸ばす。
だけどそれよりも早く、「よし」と声がして、またピアノの音が鳴りだした。
決して上手くはないけれど、どこか温かみがあって。
拙いけれど、その拙さがなぜかクセになる。
興味本位で音を立てないように、そっとほんの僅かにドアを開けてみれば、さっきまで弱音を吐いていた人物と同じなのか疑うくらいに別人がそこにはいた。
……今のって、うちのクラスの課題曲?
耳を澄ますようにドアに近づけば、突如音が止んで。
その代わりに、「うう、」と情けない声が聞こえてきた。
「……なんで私、できるとか言っちゃったんだろう。ピアノとか小学生以来触ってないのに……、あ〜むり絶対むり。3日でとか無理だよ」
はあああ、とそれはそれは深い溜息を吐く。
弱々しい声にさすがに気の毒になって、このまま見て見ぬふりするのも冷たいかな、と思って声をかけようかとドアに手を伸ばす。
だけどそれよりも早く、「よし」と声がして、またピアノの音が鳴りだした。
決して上手くはないけれど、どこか温かみがあって。
拙いけれど、その拙さがなぜかクセになる。
興味本位で音を立てないように、そっとほんの僅かにドアを開けてみれば、さっきまで弱音を吐いていた人物と同じなのか疑うくらいに別人がそこにはいた。