That's because I love you.
7年前の出会い
それは、まりあが11歳、小学5年生だった頃。
親が居ず、そして人と話すことが苦手なまりあは、小学校で毎日同級生や教師から心ない言葉を浴びせられていた。

「お前っていつも一人ぼっちだよな。もうさ、生きてる価値なくね!?」

その日クラスメイトの男子に言われた言葉は、まりあの心を酷くえぐった。
授業が終わるとランドセルを持ちすぐさま学校を出て、だだっ広く人気の少ない公園へと走る。
放課後いつも行くその公園の隅にあるベンチに座ると、まりあは必死に堪えていた涙をぽろぽろと溢し始めた。

「……っぅ…。…ふぇ…ぇ…っ。」

握った両手で目を擦りながら一人ぐすぐすと泣いていると、頭上から低い、落ち着いた声が降って来た。

「…どうしたの?大丈夫?」

驚いてパッと顔を上げると、目の前に黒い学ランを着た男子が立っていた。
サラサラの銀髪、整った顔立ち、感情が灯らない青い瞳。
細身で、背は165㎝くらいだろうか。

「……っ…。…だいじょ…。」

人見知りが激しいまりあは上手く言葉を出せないまま、両手でごしごしと必死に涙を拭う。

「そんなに強く擦ったら目腫れるよ。…ほら。使いなよ。」

学ランの男子は、紺色のハンカチを差し出してくれた。

「……!でも…汚しちゃうから…。」
「…別に汚れないでしょ。涙拭くだけなら。」
「んーん…っ!はなみずも出てるから…。お兄さんのきれいなハンカチ、汚しちゃだめだから…っ。」

まりあは鼻を啜りながら、自分のランドセルを漁りポケットティッシュを取り出すと、それで涙と鼻水を拭いた。

「…………。」

男子は無表情のまま立ち尽くしていた。
それに気付いたまりあは、顔を青ざめさせる。

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