That's because I love you.
(…どうしよう…。また変なこと言って怒らせちゃったのかも…っ…。)

「…ぁ、あの、ごめんなさ…。せっかくの親切を…私…っ。」
「…何で謝ってるの。偉いじゃん。人の手借りずに自分で解決してさ。」
「……ふぇ?」
「今日寒いねぇ。そこに自販機あるし、何か温かい飲み物買いに行かない?」
「…ふぇ…っ?」
「ふえふえ言ってないで。ほら、立って。」
「…は…、はい…っ。」

どうやら、怒らせてはいなかったらしい。
男子は相変わらず無表情のまま淡々と話しているが、その声は穏やかで暖かいのだ。
ーーーそう、まりあは感じていた。
自販機へと歩き出す彼の後ろを、おずおずとついていく。

「何飲む?」
「ぁ…私今日、お金持ってなくて…。お兄さんだけ買ってください…っ。」
「…カフェオレ、飲んだことある?」
「…カフェオレって…コーヒー?飲んだことない…。」
「僕コーヒー好きなんだよ。君も飲んでみれば?」

彼はそう言うと、カフェオレとブラックコーヒーを一つずつ買い、カフェオレの方をまりあに差し出した。

「…悪いです…っ!私なんかに…」
「えー。折角の親切を断るの?君は。」
「ふぇ…!?ぁ…えと…っ。」

まりあがわたわたと言葉を探していると、男子はふっと小さく吹き出した。

「ベンチに座って飲も。」

初めて彼に微笑まれ、まりあの顔に勝手に熱が集まる。

「…………。」

何故か喉がつまって、返事の言葉も紡げない。
まりあは赤く染まった顔をうつむかせながら、彼の後についていきベンチまで戻った。


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