That's because I love you.
「…明広さん…。」
「……うん。」

(…クリスマスに振られるとか…滑稽だな。…今までの行いの報いってやつか…。)

「………っ……。」

"振られる"ーーー自分が心の中で呟いたその言葉に、一気に心臓が重苦しい音を立て始める。
覚悟は出来ていたつもりだったが、実際まりあを目の前にすると、彼女の口から出る次の言葉を聞くのが怖くなってしまったのだ。

(…別れを受け入れるなんて無理だ。…だって僕は…まりあのことがーーー…!)

ドッドッドッ、と煩さ過ぎる心臓の音を聞きながら、思わず目を瞑る。
数秒後、そっと瞼を開けた時、目の前には綺麗にラッピングされた包みが差し出されていた。

「…これ…クリスマスプレゼントです。よ、よかったら、使ってください…っ。」
「………。…え…?」

思いもよらない展開に、明広は言葉を無くしてしまう。
放心したまま包みを受け取り、ラッピングを解く。
中に入っていたのは、明広が11月中旬頃彼女の前で"欲しい"と口に出した、日本製のワイヤレスイヤホンだった。

「いっぱいバイトして、何とかクリスマスに間に合いました…!」
「…………。」

まりあの無邪気な笑顔に、思わずぽかんとしてしまう。

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