That's because I love you.
「…最近急にバイト増やしたのって、これを買うためだったの?」
「はい…っ。内緒にしててごめんなさい…でもびっくりさせたかったから…。」
「…僕にはもう、愛想尽かしたんじゃ…。」
「…ふぇ…っ!?ど、どうして?明広さん、何も悪いことしてないですよ…?」
「…………。」

明広の冷え切っていた心に、みるみるうちに暖かさが広がっていく。

「…加賀見は?付き合ったんじゃないの?」
「つ…付き合うわけないです!告白はされたけど、すぐに断りましたし…。」
「…何て言って、断ったの…?」

彼女の言葉で安心したくて、もう一度聞きたいと願っていた言葉が聞きたくて、そんなどうしようもない質問をしてしまう。

「…"私が好きなのは明広さんだけだから、ごめんなさい"って…言いました…っ。」

恥ずかしそうな笑顔で言ったまりあに、胸が撃ち抜かれる。
嬉しさと、安心と、興奮とーーー彼女への愛おしさで、頭がパンクしそうになる。

「……、……まりあ…!」

我慢出来ず、ぎゅぅっと強く、小さな体を抱き締めた。

「…っ…、あき…」
「……好きだ。」
「……え…?」

明広は腕をゆっくり緩めると、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめながら、誠意を込めて囁く。

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