That's because I love you.
クリスマスから数日が経った、ある日の夜。
加賀見は、24帖程の広い自室のソファーに座り、スマホの画面をぼーっと眺めていた。
画面には、華とのLINEのトーク画面が映されていた。


"加賀見、まりあに振られたって?大丈夫か~…?"
"…大丈夫だよ。振られるだろうなとは思ってたしね。"
"…やめとけって何度言ってもアンタ聞かないんだもんなぁ。まぁ、アンタの熱意に負けて二人の事情話しちゃった私も悪かったけどさ~。"
"高橋さんは何も悪くないよ。俺もキッパリ振られて、やっと報われない恋に終止符を打てるってものさ。…望月さんに気持ちを伝えられて、本当に良かったと思ってる。"
"…結構アッサリしてんね。意外だわ…。"
"ほぼ振られる前提で告白したからね。…望月さんの幸せを、今は祈ってるよ。"
"…その願いならもう叶ってるよ。"
"…え?"
"まりあ、御木本サンと両想いになれたんだってさ。"


最後の華からのメッセージを見つめながら、加賀見は無意識に、顔をつらそうに歪める。

(…わかってたよ…こうなることは。望月さんが俺を意識してくれたことなんか、一度だって無かったし…。…それに、御木本さんだって…。)

加賀見が明広に声を掛けたのは、明広にまりあを諦めてもらうためではなかった。
加賀見は、明広を試したのだ。

ーーー女遊びが激しかった過去があり、まりあとも恋愛感情を持たないまま付き合っていて、愛の言葉すら掛けてあげずまりあを不安にさせている。
その情報だけ見れば明広は只々最低な男だが、まりあが脇目も振らず一途に慕っている明広が本当に酷いだけの男なのか、確かめに行ったのである。

結果、加賀見は明広への認識を改めることになった。

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