That's because I love you.

『…望月さん、俺は君が好きだ。優しい君にあんな彼氏は似合わないよ。…俺が君を幸せにしたい。俺を選んでくれないか…?』
『……!』
『…返事は今くれなくていい。ゆっくり考えてみて…。』
『……加賀見くんの気持ちは嬉しいよ。…気付けなくてごめんね…。…でも私が好きなのは、明広さんだけなの。本当にごめんなさい…っ。』
『………。…彼に、君への気持ちが無くても?さっき"幸せ"って言ってたけど、あれは本当?』
『…うん。えと…あのね。加賀見くんは明広さんのこと誤解してるみたいだけど…確かに明広さんは、私に恋愛感情は持ってないよ。でも明広さんは私をちゃんと大事にしてくれてて…多分ね、出来る限りの…精一杯の優しさを、くれてると思うんだ。色んな場所に連れて行ってくれたり、男の人に絡まれた時助けてくれたり、誕生日をお祝いしてくれたり…あ、あとね、絶対怒鳴ったりしないし、理不尽に怒ったりもしないの。』
『……………。』
『…確かに、明広さんの心が欲しくて悩む時もあるよ。でも、彼を好きな気持ちが薄れたことは無いの。これからも頑張りたい…彼の側に居たいの。本当に、ごめんね…。』
『……わかった。そんなにハッキリ言われちゃ、諦めるしかないな。』
『…ごめんなさい…。』
『もう謝らないで。…御木本さんが軽くていい加減な人ってだけじゃないのは、俺も気付いてたよ。最後の悪あがきで御木本さんのこと悪く言ったりして、俺こそごめんね。』
『…んーん…っ。』
『…残ってるケーキ食べちゃおう。君のことちゃんと諦めるからさ、食べ終わるまでの時間だけ、俺にくれる?』
『…うん。…ふふ…っ、おいしい、このいちご~。』
『でしょ?ここのフルーツは何食べても甘くて美味しいんだよ。』



涙を滲ませながらケーキを食べていたまりあが瞼の裏に浮かぶと、目頭が急激に熱くなる。
加賀見はソファーの背もたれにもたれていた体を起こし、うつむいた。

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