That's because I love you.
長い付き合いの末やっと本当の意味で"恋人"になれた二人は、その後も仲良く半同棲生活を送った。

バイトがお互い終わり部屋に帰った後、二人でこたつに入ってごろごろし、そのまま寝てしまったり。
三が日が過ぎ人混みが緩和された頃、森と華も交えて四人で初詣に行ったり。
部屋で、まりあが明広にあげたワイヤレスイヤホンと以前から彼が持っていた普通のイヤホンを交代でスマホに繋げ、二人で洋楽R&Bを聴き、余りの音質の違いに笑い合ったり。
二人で多めにご飯を作り、多田の元へそれを持っていき、また三人でご飯を食べたり。

穏やかかつ楽しい日々はあっという間に過ぎ、1月7日。
明日から大学の授業が始まるので、明広は今日から自宅に戻る予定であった。
昼前に荷物を纏め終わった頃、明広のスマホに森から電話が掛かってきたので、明広は面倒くさそうに溜め息を吐きつつ通話ボタンを押した。

『御木本~ッ!明日提出のレポート終わんねぇよぉ!な~今から時間ある?見して~ッ!』
「これからバイトだから時間ないし、あってもやだ。僕に頼まなくても他の奴に見せてもらえばいいだろ。」
『えぇ~。だってお前のが一番完成度たけぇんだもんよ~。』
「用ってそれだけ?じゃあね。」
『待ってぇぇ!お前冬休み中ずっとまりあちゃんの部屋で幸せだったろ!俺にもちょっとお裾分け…』

喚いている森を華麗にスルーし、明広はブツッと容赦なく電話を切った。
隣では、まりあが両手で口を押さえて笑いを堪えていた。

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