That's because I love you.
まりあから告白された日は、週末にデートをする約束だけして別れた。
それから週末まで、二人は顔を合わせることすら無かった。

金曜日の夜。
明広は自室のソファーに座り、大好きな音楽ジャンルである洋楽R&Bを聴きながら、文庫本を読んでいた。
切りの良い所で本を閉じると、溜め息を一つ吐き天井を見上げる。

(…あの子とのデート、明日か…。ああいう純粋な子って、どんなデートを思い描いてるんだ?…少なくともラブホじゃないだろうな、それくらいはわかる。はー…普通のデートとかろくにしたことないしわからないんだけど…。無難に買い物とか…?)

勢いに任せてOKを出してしまったが、やはり自分にはあんなウブな少女は手に負えないかもしれない、と気が重くなる。
また大きな溜め息を吐いていると、隣に置いていたスマホがヴヴッ、と震えた。
まりあからのLINEが到着した知らせだった。

"御木本さん、お疲れさまです。明日なんですが、観たい映画が吉祥寺で上映されているので、良かったらなんですが、御木本さんと一緒に観れたらなって…。いかがでしょうか…? "

まりあからのメッセージを見た明広は、安心してホッと息を吐く。

(…向こうから行き先指定してくれた。助かった…。)

"何でもいいよ。行き先も映画も、君に任せる。"

普段女に送っている調子でそう送ってしまってから、ちょっと冷たかったかな、などと考えてしまう。
するとすぐまりあから"ありがとうございます…!明日が楽しみです(*´˘`*)"と来たので、またホッと息を吐く。

(…って…何あの子の反応気にしてるんだ。あんな純粋な子相手にするの初めてだし、何か調子狂うよな…。はー…初デートからヤる雰囲気に持ち込む訳にいかないだろうし、一日もどうやって間を持たせれば良いんだよ…。)

明広ははぁぁ~、と殊更に大きな溜め息を吐いたのだった。


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