That's because I love you.
(…もう夜か。食材も買っちゃったし帰らないとな。………。)

自分の隣を嬉しそうに歩くまりあを、無意識に見やる。

(…もう少し…一緒に居てもよかったんだけど…。)

今日は初めから手を出さないつもりで来たし、それも下心からの思いではなかった。
純粋に、"この子ともう少し一緒に居たい"と思ったのだ。
元カノ達には決して抱いたことのないその感情に、明広は少しだけ戸惑う。

(…変だよな、僕がこんなこと…。…でも…今日は…)

笑顔で話すまりあに自覚なしに見とれていると、ふと彼女が自分を見上げたので、一瞬体が硬直してしまう。

「御木本さん、今日はずっと一緒に居れてすっごく楽しかったです…っ。ありがとうございました…!!」

花が咲くような可憐な笑顔に、明広の胸はきゅんと締め付けられる。

「……、…僕も…今日は楽しかったよ。」
「…よかったぁ。嬉しいです…っ。」
「…暗いし危ないから、送ってく。」
「そんな…っ!御木本さんの手を煩わせるわけには…」
「また大袈裟な。ほら行くよ。駅どこ?」

スタスタと駅に向かう明広に、まりあは真っ赤な顔でついていく。
電車の中で何故か頬が緩みっぱなしのまりあに、明広はその理由を尋ねてみることにした。

「…何かご機嫌だねぇ。楽しみなテレビがあるとか?」
「んーん。さっき、ばいばいするの寂しいなって思ってたから…まだ一緒にいられて嬉しくて…っ。」
「………っ…。」

素直なまりあの言葉に、明広は思わず頬を少し染め目を逸らす。

「…そのさぁ、直球な好き好き攻撃やめてくれない…。」
「ご…っ!ごめんなさい…っ、思ったことがつい口から出ちゃって…っ!」
「…あー。…怒ってないよ。」

涙ぐんで慌てるまりあの小さな頭を撫でてやると、まりあはすぐにおとなしくなりかぁっと頬を染めた。

(…いやいや…ここまで来て可愛いと思えない奴は居ないだろ。…僕に懐いたペットみたいだな。犬でも猫でもない…うさぎとか…?)

脳裏で、うさぎの耳がついたまりあを想像してみる。
それが思いの外似合っていてしっくり来たので、明広の頬も思わず少しだけ緩んでしまう。
そうこうしている間にまりあの自宅の最寄り駅に着き、彼女の住むアパートまで送る。

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