That's because I love you.
初めての彼の家
付き合い始めて、二週間余りが経った。
あれから二人は放課後に数度デートをしているが、明広はまりあにキス以上の手は出していなかった。
性欲が割と高い明広はそろそろ、欲求不満である。

(はー…。あんなに僕に好き丸出してくる彼女に手出せないの、キツ…。いつまで待てばいい訳?結構待ったよな…いや、まだ二週間か…。はぁー…。)

講義を終え溜め息を吐きながら廊下を歩いていると、以前遊んだことのあるギャルに声を掛けられた。

「明広ぉ~!何溜め息吐いてんのぉ?」
「…別に。関係ないだろ。」
「わかった!彼女があんなお子ちゃまだから物足りないんでしょ~っ!私が相手してあげるよぉ?」
「………。」

"御木本さん…っ!"

明広の脳裏に、まりあの可愛らしい笑顔がよぎる。
他の女ではもう、全くその気にならなかった。

「…無理。」
「は?」
「彼女で足りてるから君とはしない。寧ろ面倒。」
「はぁ!?ちょっと…嘘でしょ、明広~ッ!」

明広はギャルから離れるとポケットからスマホを取り出し、電話を掛ける。

(…まりあの見た目が好み過ぎて他の女が霞みまくる。せっかくあんな可愛い子が彼女なんだ…まりあとヤりたい。…もう待てない、限界だ。まりあだって僕の素行の悪さを知ってて告白してきた訳だし、覚悟くらい出来てるだろ…。)

『…もしもし…っ!』
「……っ…。」

嬉しさが滲み出たまりあの明るい声を聞いた途端、何故か胸にズキッと罪悪感が走る。
首を軽く振ってそれを振り払うと、切り出す。

「…まりあ、今どこにいる?」
『ぁ…今講義終わって、C棟…。』
「…僕も今終わった所なんだよ。…一緒に帰らない?」
『…!は、はい…っ!!』

今日はデートの約束をしていないのに明広から誘われ、まりあは心底嬉しそうに返事をする。
電話を切った明広の胸はまた、ズキズキと痛んでしまう。

(…いやいや。まりあは僕の彼女だから…!手を出せる権利が、僕にはあるんだよ。何で罪悪感を感じなきゃいけないんだ…。)

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