That's because I love you.
カフェオレを恐る恐る一口飲んだまりあは、ぱぁっと顔を輝かせる。

「おいしぃ~…っ!!」
「そ?よかった。」
「あの…ありがとう。こんなおいしいもの教えてくれて、買ってくれて…っ。」
「…大袈裟。いつも何飲んでるの?」
「いつも…えと、お茶と、お水と、牛乳と、ミックスフルーツジュースとか…っ。」
「…お子ちゃまだね。まだ小学生だもんねぇ。」
「む…むぅ~…!お兄さんは?中学生…?」
「うん。中一。」
「…2つしか違わないの…!?」
「何。僕そんなに老けて見える?」
「ちが…っ!そうじゃなくて…えと、すごく落ち着いてて、優しいから…。クラスの男子は…」
「みんな猿?」
「…さる…っ?」

穏やかな彼からの思わぬ言葉に、まりあは思わず目を丸くする。

「…僕のクラスの連中もだよ。皆くだらないことばかり言ってる。…バカ過ぎて全然話合わない。」

そう呟いた彼の表情が少し曇った気がして、まりあはおずおずと声を絞り出す。

「…お兄さん、悲しいの?…だいじょぶ…?」

彼は一瞬目を見開いた後、すぐにまた無表情に戻った。

「全然悲しくないから大丈夫。」
「ほんと…?」
「本当だよ。寧ろ悲しいのは君じゃないの?さっき、何で泣いてたの?」
「……ぁ…。」
「…言いたくなかったら良いけど。僕でよければ愚痴、聞くよ?」
「………。」

周りに冷たく当たられていることを誰かに相談するのは、初めてだった。
まりあは言い淀むが、彼の穏やかな声に促され、おずおずと口を開く。

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