That's because I love you.
「…今日はここまでにしとくから。」

彼女の背中を片手で支え、上体を起こさせてやる。

「…わ…私じゃ、ダメでしたか…?」
「…そうじゃないよ。今日はその…いきなりだったし、君も心の準備とか出来てないかと思ってさ。」
「…ぁ…。じ…実は、緊張で倒れそうでした…。」
「…やっぱり。凄い震えてたもんねぇ。」

明広が思わずくすっと笑うと、それにつられたまりあもふふっと笑いをこぼす。

「…あれ、…あれ…っ。」

まりあの緊張はまだ解けていないらしい。
手が震えてブラジャーのホックが留められないまりあに、明広は吹き出してしまう。

「そんなに震えてちゃ留められないでしょ。ほら、貸して。」
「ぁ…、ありが…。」

まりあに後ろを向かせホックを留めてやると、そのまま両手を彼女の体の前に回し、ブラウスの前ボタンを背後から留めてやる。
かぁぁ~っと顔を真っ赤にして照れているまりあが可愛くて、思わず小さな体を後ろからぎゅっと抱き締める。

「…次は抱くから。ちゃんと心構えしておいてね。」
「……!!…は、はい…っ。」
「…やばいくらい赤。」
「だ、だ、だって…。」
「んー?覚悟は出来てるんだよね?」
「…!で…出来てます…っ。」
「本当だね?」
「はい…っ!ばっちり出来てます…っ!」
「ならよかった。楽しみにしとく。今日の所はアレしよっか。」
「あ、あれ?」
「勉強。」
「べん…?ぁ…っ、はい!」
「全くまりあは…。自分が頼んだこと忘れてるし。」
「わ、忘れてないですぅ~っ!」

それから二人は実に健全に、ほのぼのと過ごした。
まりあに英語を教えてやった後、今日は明広の育ての親が出張で帰って来ないこともあり、明広の家で一緒に夕食を作った。
料理中明広はまりあに、自分の好きな洋楽R&Bの曲を聴かせてみた。
それをいたく気に入ったまりあと曲やアーティストについて語り合いながら作った料理を食べ、食べ終わるとテレビを点けミュージックビデオを観たりもした。

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