That's because I love you.
休日デート

*昼編

数日後、土曜日。
まりあとのデートの待ち合わせ場所に向かう明広のスマホが震え、メッセージの受信を告げた。

(…まりあかな?)

そう思ってスマホを開くが、その読みは外れていた。
明広が何度冷徹に断ってもしつこく"遊び"に誘ってくる、元カノからのメッセージだった。

"明広♡今日ヒマ?明広とどうしても行きたい店があるの、付き合ってくれない?もちろんお礼はするよ~?♡"

その文面を見た明広は、はぁ~と深い溜め息を吐く。

(どうせ高いランチかアクセサリーか服だろ…。いつまでも明広明広って馴れ馴れしいな…。)

"ブロックする"のボタンを表情を変えることなくタップすると、スマホを閉じジーンズのポケットにしまう。

(…そういえば、まりあはいつまで"御木本さん"なんだ?凄い他人行儀…)

「御木本さん、おはようございます…っ!」
「……!」

まりあのことを考えていた矢先、待ち合わせ場所の少し手前で急に本人に声を掛けられ、明広は思わず足を止める。

「…おはよ。まりあも今来た?」
「はい~。晴れてよかったですね~!楽しみです、水族館~っ。」

うきうきと嬉しそうなまりあに適当な言葉を返そうとするが、ある違和感に気付いた明広はじっと彼女を見つめてしまう。

(……ん?何かまりあ、いつもと違う気が…。)

"……っぁ…、ゃぁ…。…みきもと…さん…っ。"

その時ふと脳裏に数日前の情事の際の彼女が思い起こされ、明広は無表情のまま固まる。

「…御木本さん?」

そう言って首を少し傾げて見上げてくるまりあが、明広の目には今、何故かキラキラと輝いて見えてしまっていた。
明広は思わず頬を染め、目を逸らす。

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