That's because I love you.
しかしそれから僅か数日後、まりあは地方の施設へと移され、彼とはそれきり会えなくなってしまった。
例え会えたのがたった一度でも、遠く離れた土地で暮らしていても、まりあは絶望の中に居た自分を救ってくれた明広のことを忘れることなく、ずっと想い続けていた。
思い出さない日は一日も無く、風当たりの強い日々を明広がくれた言葉と、彼への暖かい恋心を励みに前向きに生きていた。

まりあは中学卒業と共に施設から出ると上京し、寮のある高校へと入った。
この頃にはまりあは大分人と話すことに慣れて来ており、仲の良い友人も出来た。
そして暇があれば明広と出会った公園に赴き、周辺を探したが、彼を見つけることは出来なかった。

そして、上京から三年後。
まりあはそこそこ難関な大学に無事合格し、奨学生として入学した。



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