That's because I love you.
(……御木本さん…?…本当…に…?)

「…えーと。拾ってくれてありがとう。…くれないの?」
「……!!!」

トリップしていたまりあは、彼の言葉でやっと我に返る。

「…ご…ご、ごめんなさい…っ!どうぞ、これ…っ!」
「…ありがとう。」

(……御木本さんだ…っ!!!7年前より更に声低くなってる…それに、か、か、かっこよくなって…っ。)

突然の夢の様な現実に、まりあは真っ赤に染めた顔から湯気を出し、更には目も回しながら盛大にパニクってしまう。

「…あの…あの、…私のこと…っ。」
「……ん?」

明広が無表情を崩さないまま疑問符を浮かべたので、まりあは慌てて口をつぐむ。

(…ばかばかぁ…っ!もう7年も経ってるんだよ?覚えてるわけないよ…っ!)

「…怪我無くてよかったよ。じゃあ、講義あるから。」
「…は、はい…っ。」

明広が去った後、またぼーっと違う世界へ旅立ってしまったまりあの肩を、華がゆさゆさと揺さぶる。

「…まりあ!まりあ…っ!」
「……!!華ちゃん…ごめ…!」
「まりあ…あんた…。まさかあの人に惚れた、とか…?」
「…ふぇ…っ!?ど、どしてわか…っ!」
「………。…マジかぁ…。」

華は何故か、顔を引きつらせていた。

「華ちゃん…?」
「…取り敢えず講義室行こう、時間ない!放課後話すよ、あの人…御木本サンについてさ…。」
「…う、うん…。」

珍しく複雑そうに顔を歪める華に、まりあは疑問を抱きながら講義室へと走っていた。



< 7 / 165 >

この作品をシェア

pagetop