That's because I love you.
「…うーん。そろそろ泣き止もうか。キスしてあげるから。」
「…ふぇ…。……ん…っ…。」

明広はまりあの頬に流れる涙を拭ってやった後、彼女の小さな唇に口付ける。
こめかみや髪を優しく撫でてやりながら、何度も角度を変えて重ね合わせる。

「……ん…。…っ、……んぅ…。」

明広の服の胸元をきゅっと掴み震えるまりあが可愛くて、明広は止まらなくなる。
彼女の肩を掴み壁際に小さな体を追い込むと、彼女の顔の横に片手をつく。

「…あきひろさ…。……っ…!」

顔を真っ赤に染め少し戸惑うまりあに再び口付け、柔らかな唇を舌で割る。
頬や首筋を空いている方の手で撫でてやりながら、彼女の舌に自分のそれを優しく絡める。

「…んぅぅ…っ…。…ん…、……ん…っ。」

満足いくまでまりあの口内を侵し切ると、ゆっくりと唇を離す。
まりあは瞳をとろんと蕩けさせ、はぁはぁと息を切らしていた。
彼女の目にはまだ涙が溜まっていたが、それ以上はもう溢れて来なかった。
明広は満足気に微笑むと、よしよしと彼女の頭を撫でてやる。

「…止まったね、涙。」
「……はい…っ。」
「さっきのお詫びしたいし、まりあの好きな喫茶店にでも行こうか。ケーキ奢るからさ、元気出しなよ。」
「ほ…ほんと?嬉しいです…っ。明広さんと喫茶店~っ。」

まりあの幸せそうな、安心に満ちた可憐な笑顔に、明広の胸も暖かさで一杯になる。
手を繋ぎ、大学を出て駅まで歩く。

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