That's because I love you.
『…も、もしもし…っ。』
「…まりあ?今日、誕生日なんだって?」
『…え?どうして…』
「…何で言わないんだよ。バイトあと2時間で終わるから会える?」
『…はい…。…会って、くれるの?』
「…ケーキ買ってまりあの部屋行くから。待ってて。」
『……。…ありがとぉ…っ。』

電話越しに聞こえる、泣くのを必死で堪えているような震える声に、明広の胸はきゅんと締め付けられる。
明広は電話を切ると、ファミレスの隣にあるケーキ屋へと急いだ。
バイトが終わってからでは、選べるケーキの種類が少なくなってしまうと考えたのだ。

(…さすがにファミレスのケーキじゃ可哀想だろ。ここならまりあが喜びそうな、見た目も良いケーキが沢山ある…。)

色とりどりのフルーツがてんこ盛りになった可愛らしいケーキを買うと、バイト先のファミレスへと戻る。

「…店長。帰るまで冷蔵庫の片隅使わせてもらっても良いですか?」
「おー、いいけど…。…って、お隣サンのケーキじゃねーか!買うならうちの買ってけよ!」
「…彼女の誕生日なんですよ。今日だけ勘弁してください。」
「え…ッ!?お…おう。それじゃ仕方ねーな…。」

(…コイツ、彼女のためにこんなに気を回せる奴だったか?いや…前ギャルの彼女がコイツに会いにここに来た時、"何勝手に来てんの?帰れよ、邪魔"とか言って追い返してたよな…。今の彼女にはちゃんと優しくしてんのか…?)

普段通りの無表情で冷蔵庫にケーキをしまう明広を、店長は怪訝な表情で見やっていたのだった。



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