俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




どうして理沙はこーいうときに限って優しくなるの…。

いつもツンツンしててデレてくれたときなんか無かったのに、そんな優しさを今に発揮されてもだ。


くんっと込み上げてきそうになって、ごくんっと飲み込む。



「それにあんた、早瀬さんのこと好きだったでしょ?」


「っ…!!」



耳元でコソッと言うには衝撃的すぎる一言。

理沙いわく、わたしほどに分かりやすい人間はいないとのことで。


す、好きじゃないよ…!!

ただ良い人だなぁ~~って思うだけで…!



「そっ、そんなことないから…!!」


「へぇ~。どうかしらね~?」



だって今さらだもん。

もう色々と遅すぎるよ…。


あのキスの意味だって言いかけてた言葉だって気になるのに、結局はお姉ちゃんを選んだハヤセ。

そんなやつこっちから願い下げだっ!!



「すみませんがこちらが柊 エマさんの教室ですかな…?」



と、見慣れない男性が教室に入ってきた。


杖をついて手も足もぷるぷる震えているおじいさんは今にも転びそうで。

白髪がそのまま繋がったような長い髭、まるでサンタさんだ。



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