俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「おじいさんっ!わたしが柊 エマだよ!なにか用ですか…?」
思わず駆け寄って支えた。
悪い人じゃなさそうだし、動物と老人と子供には優しくするべし。
そんなスローガンを勝手に掲げて生きていたわたしだから。
「おぉ、優しいお嬢さんじゃ…。ワシが今日からお嬢さんの執事となりました、御子柴(みこしば)と申します」
その途端。
クラスメイトも執事もぶふぉっ!!と、吹き出すように笑い出す。
「嘘だろ…!とっくに還暦すぎてるだろあれ…!!」
「最年長かよ…!くくっ、ある意味お似合いだな!」
……きっとこのおじいさんは昔はすごい執事だったに違いない。
てか笑いすぎだよ……!!
さっさとクビになっちゃえ下級執事ども…!!
「うっそ~、早瀬さんの次はあのおじいさん?ありえなぁ~い」
「いいんじゃない?破壊神にはあれくらいがちょうどいいのよ」
御子柴さん、ちゃんと名前は覚えた。
もしかすると若い執事より良いかもしれない。若いからいろいろ忍耐力がなくて辞めていっちゃうの。
だから、こーいうおじいさんのほうがわたしだって平和な気持ちになれる。