俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
呼ばれてしまえば返事をしてしまう。
ふっと顔を上げれば、わたしの渦巻く不安がすべて見えているかのように、お日さまみたいな目をしていた。
「俺が執事では不服でしょうか」
「えっ!それだけはないよ…!!そんなことあるわけないっ!」
ないないっ!
むしろ嬉しすぎるくらいで夢みたいだと、ぶんぶん首を横に振った。
「でもすでに決まってるんじゃ……」
「昨日はあなたに会いにきました」
どこぞの王子様ですか。
そんな言葉を貰うような相応しい人間じゃないのに…。
わたしに会いにきたの…?
花瓶のときもたまたまじゃなくて、意識的ってこと…?
だから名前も知ってたのかな…。
「お、お父さんから頼まれたの…?」
「いえ、柊家と俺はそこまで深い接点はありませんので。独自の判断です」
独自の判断…。
わたしが自分で言うのもおかしいけど、あなたの独自の判断は絶対に正しくないと思う。
「わたしってそんなに有名なの…?」
もしかして執事同士の中でも噂が回っちゃってるとか…?
柊 エマだけはやめておけって。
だけど早瀬 真冬は「いいえ」と柔らかく放って、首を横に振った。
……有名じゃないって言われてるみたいでちょっと落ち込むけど。