俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
それはわたしに言われたものではなく、樋口に対してだったらしい。
低すぎない声は聞いていて心地が良いアルト。
「あ、あなたは……!」
「え、樋口の知り合いなの…?」
執事学校というのは全世界にあるらしく、いろんな国から一流になった執事が集まる。
それがスタ女の特徴でもあった。
だから中には外国人の執事もいたり。
「はい、この方は───」
「エマお嬢様、お怪我はございませんか?」
遮るようにわたしの手をそっと掴んだ、新しい人。
サラッとわたしの名前を呼んでくる。
「うん全然っ!こんなの日常茶飯事ですから!」
「…そうですか。ただ次からはあなたはしなくていい、わかりましたか?」
「は、はい!りょーかいです!」
わたしの渾身の返事に、ふっと微笑んでくれる。
うわ……すっごい格好いい人だ。
誰かの執事さん?
先輩とか?3年生とかの執事なのかな。
めちゃくちゃ失礼だけど、なんかもうオーラが樋口なんかと違った。