ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「吸血鬼を封じる呪文を刻み、耳から離れたとき、銃弾になるよう細工がされている。死にはしないが、もう身動きは取れない」

 ーーきっと、君を守ってくれる。
 あのピアスに、そんな力が埋め込まれていたなんて知らなかった。

「……終わった」

 一気に力が抜けたように、ルキくんがその場に座り込んだ。

「早く、モラナのところへ行かなきゃ! ルキくんが、ルキくんが死んじゃう!」
「アイツの毒か」
「……俺は、大丈夫。少し疲れただけだ。毒の進行も、止まってる。小嶺のおかげだよ」

 ううんと首を振って、ルキくんに抱きつく。

 私のせいだ。私が足手まといになって、毒を受けてしまった。
 あのとき、ドラゴンの影を止めてしまったから、イリヤくんが来てくれなかったら今頃……。

「……泣くな。涙が胸にしみて、痛い」
「ごめんなさい」

 頭をポンとなでられて、胸の奥が苦しくなる。

 吸血鬼とか、人間だとか関係ない。
 私は、ルキくんのことが好きなんだ。
< 116 / 158 >

この作品をシェア

pagetop