ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
イリヤくんがモラナを呼んでくれて、私たちはメゲーテへ移動した。事情があって、イリヤくんは魔女の村へは行けないらしい。
「足止めをくらっておってな、向かうことが出来んかった。悪かったのう」
フラスコに入った緑の液体をスポイトですくって、ルキくんの腕に広がる黒いアザへポトポトと落とす。
ジューッと焼けるような音と湯気がたって、ルキくんが顔をゆがめた。
「これでいいじゃろう。すぐに良くなる」
「……ありがとう」
薬を付けた傷口に、私がそっと包帯を巻く。
「ほぼ毒が抜けておった。応急処置が機転を利かせたのう」
それを聞いて、少しだけ救われた気がした。
あたたかい紅茶とシナモンの香りがするアップルパイを出してくれて、その後は穏やかに時間が過ぎていった。
私をベッドに寝かせると、ルキくんが頭をなでる。
「怖い思いばかりさせて、ごめん」
ふと落とされた言葉に、胸が苦しくなって寂しさが押し寄せる。
背を向けた服のすそを掴んで、一緒にいたいと心につぶやく。
「一緒にいるよ」
「……ここにいて」
見えない顔がさらに不安をつのらせる。
根拠はないけど、このまま行ってしまったら、もう会えない気がして。胸がざわつく。
ふり向いた目は優しくて、こつんとおでこを合わせると、不思議と安心出来た。
「ずっと一緒だ。おやすみ」
いつの間にか、私は意識を失っていた。
「足止めをくらっておってな、向かうことが出来んかった。悪かったのう」
フラスコに入った緑の液体をスポイトですくって、ルキくんの腕に広がる黒いアザへポトポトと落とす。
ジューッと焼けるような音と湯気がたって、ルキくんが顔をゆがめた。
「これでいいじゃろう。すぐに良くなる」
「……ありがとう」
薬を付けた傷口に、私がそっと包帯を巻く。
「ほぼ毒が抜けておった。応急処置が機転を利かせたのう」
それを聞いて、少しだけ救われた気がした。
あたたかい紅茶とシナモンの香りがするアップルパイを出してくれて、その後は穏やかに時間が過ぎていった。
私をベッドに寝かせると、ルキくんが頭をなでる。
「怖い思いばかりさせて、ごめん」
ふと落とされた言葉に、胸が苦しくなって寂しさが押し寄せる。
背を向けた服のすそを掴んで、一緒にいたいと心につぶやく。
「一緒にいるよ」
「……ここにいて」
見えない顔がさらに不安をつのらせる。
根拠はないけど、このまま行ってしまったら、もう会えない気がして。胸がざわつく。
ふり向いた目は優しくて、こつんとおでこを合わせると、不思議と安心出来た。
「ずっと一緒だ。おやすみ」
いつの間にか、私は意識を失っていた。