ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
 モラナが部屋を出て行くと、視界に人影が入った。ベッドの上に腰を下ろして、じっとこっちを見ている金髪の少年。

「ノエルくん? いつから、ここに?」
「さっき。ルキに頼まれてね」

 天使のような笑顔を見せて、手招きをしている。
 となりに腰を下ろすと、おもむろに私の髪を結い始めた。

 慣れた手つきで編み込んでいく。お出かけのとき、いつもお姉ちゃんがしてくれていたのを思い出した。

 今頃、どうしてるかな。ちゃんと元気でいるかな。

「きっと、ジュリちゃんの事が心配なんだねー。ほら、かんせーい!」

 うしろで編み込まれた髪は、プリンセスみたいで可愛らしい。鏡をのぞき込む顔は笑っているけど、眉は下がっている。

「……心配か。だったら、そばにいてくれたらいいのに」

 自分を棚に上げて、よく言う。
 でも、私にとって、家族もルキくんも同じくらい大切で、いなくてはならない存在なの。

「そんなにルキと一緒にいたいの? なんで? 好きなの?」

 まっすぐな質問に頬を赤らめる。

「吸血鬼なのに、どうして?」

 理解出来ないとでも言いたそうに、ノエルくんが眉を上げた。
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