ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

悪魔の黒呪団

 どこまで続いているのか、とても長い道を歩いている。
 つなぎ合った手はあたたかくて、離したくないと願う。

 でも、黒い霧があらわれて、引き離されてしまった。

 行かないで。
 ルキくん、ひとりにしないで。

 眠気さが残るなか、まぶたを軽くこする。
 まぶしい日差しの先に、ルキくんの姿はない。

 枕が濡れている。悲しい夢は、夢じゃなかった。

「すぐ戻ってくる。今回はカゲロウも一緒じゃ。心配せんでいい」

 ベッド横のゆりイスで、モラナが編み物をしている。

 まだ魔界にいた。目が覚めたら、元の世界へ帰されていると思った。

 素足をついた床は、冷んやりしている。

「しばらくは、ここにおった方が良い」
「……うん」

 ルキくんがどこへ行ったのか、どうして置き去りにしたのかは聞かなかった。教えてくれないと感じていたから。

「さあ、出来た。これを持っとるといい」

 くれたのは、きらきらした糸で石を包むように編まれたお守り。

「同じものをルキにも渡した。吸血鬼にも心があるのなら、これでいつでも繋がっておれるじゃろう?」
「……ありがとう」
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