ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
「……怖いわけじゃ」

 言いかけたときには、ノエルくんに抱きしめられていた。

「ありがとう〜! カワイイから、ボクもジュリちゃん大好きッ」
「えっ、ええ?! 誰も好きだなんて一言も……」

 離そうとしても、力が強すぎてびくともしない。女の子のような可愛い顔して、やっぱり中身は男の子だ。
 それにしても、コアラみたいにガッツリくっ付いている。

「心配しなくても、いきなり()みついたりしないから、だいじょうぶだよ」

 噛みつく?
 頭にハテナが浮かんだところで、保健室のドアが勢いよく開いた。
 ルキくんが無言で入ってきて、私にくっ付いているノエルくんをペリッとはがす。いとも簡単に。

「なにしてるんだよ」
「これから仲良くしようねーって話してたところ。ねっ、ジュリちゃん」
「えっ? そ、そうなの?」

 そんな話になっていたなんて、知らなかった。
 はあ、とため息を吐くルキくん。ジロリと視線を向けられて、心臓がキッと小さくなる。

 どうして、何もしてない私がニラまれてるの? 納得いかない。

 となりを見たときには、もうノエルくんの姿はなかった。たった今まで、ここにいたのに。
 それにしても、さっきのは何だったんだろう。
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