ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜
***

 薄暗い幕が空から降りはじめた。窓の外をながめながら、うなずく。

「……うん、友達の家」

 お姉ちゃんとおばあちゃんが心配しないように、友達の家へ泊まると電話で伝えた。

『おっ、前家に来た男の子〜?』
「違うッ!  同じクラスのゆ……優希って子」
『はいはーい、ユウキクンによろしくね』
「優希ちゃんだってば!」

 通話を切って、ばふんとベッドへ倒れ込む。

 いつも人をからかって楽しんで、大人気ないんだから!

 うつ伏せになると、ふわりとルキくんの匂いがした。シャンプーか分からないけど、花畑にいるような心地のよい香り。

 ここはルキくんの部屋なのかな?

 花の香りに包まれていると、不思議とまぶたが重くなってくる。

 うっすら開く視界の先に、ルキくんがいる。となりで同じように寝転んで、手を繋いで、見つめ合う。

 あれ……なに、これ?
 ものすごく、恥ずかしい。

「おーい、聞いてる?」

 パチンッと風船が割れるような音で、目が見開いた。顔をのぞき込むルキくんのドアップが、目の前にうつる。

 叫び声のようなひめいをあげたのは言うまでもない。
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