置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
火曜日、午前中からミーティングを重ね、リストアップされていたリノベーションの業者との打ち合わせや企画戦略室での意見交換を始めた。

うちの部は精鋭揃いで私たちより下の代は3つ下の梨花ちゃんと大介くんのみ。
それ以外はみんな年上で経験値も高い。

私たちが石垣島でのことを資料にまとめ意見を共有する。

ホテル自体かなりリノベーションしなければならないのでこれはすぐに動かなければならないだろう。
思った以上にの酷さにみんなも口を開けていた。
もらっていた資料写真はもっと良さそうに写っていたが現実そんなことはなくフロントの小ささやレストランとは到底言えないような食堂に部屋の有様を見て早速そこから取り掛かるため田代さんが連絡とり現況の確認とプランを出してもらうようすぐに動き始めることになった。
それと連動して内装もコンセプトに沿ったものになるよう社内のデザイナーと連絡をとる。

ホテルでの過ごし方については今後詰めていくことになり今日は散会となった。

梨花ちゃんが私と加賀美くんのところへ来る。
前々から思っていたが梨花ちゃんは加賀美くんが好きなのだろう。
私には時折棘のある言い方をしてくるが加賀美くんがいる時はそういうことはなく従順な雰囲気がある。
普段はいい後輩なんだけどな、加賀美くん絡みじゃないと。
ペアで仕事をし始めると私に些細な文句を言ってきたり資料作成のミスが目立つようになる。わざとなのかなと思うほどにお粗末な資料が仕上がってくるため徐々に頼まなくなった。
手伝ってもらえない分大変だが何度もやり直しをお願いするのも意外と気力を使うもの。
やる気がないならやってもらわないほうがいい。
でも加賀美くんには態度が違いやる気に満ちている。
ま、いいかなと最近は思っている。
その代わりに大介くんは私のフォローに回ってくれる。資料を集めていると一緒に探し、リサーチしてくれる。なかなか筋がよく、資料もまとめるのが上手だ。今後うちの精鋭部隊の戦力になるだろうと思われる優秀な人材。
部のみんなも彼のことをよく見ていて上手に育てていきたいと思っていることが窺える。
梨花ちゃんのことは加賀美くんに任せて私は大介くんの教育をしていくことにしようかな。

なので私はこの場を離れようとするが加賀美くんが私のことを引き留める。
その姿を見て梨花ちゃんが少し苛立ったのがわかった。でも加賀美くんの手前、口には出さない。
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