置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
「電話中でした?大丈夫ですか?」

「うん。加賀美くんが私1人で大丈夫かって連絡くれたの」

「へぇ。加賀美さんが」

「私、みんなに心配かけてるよね。ごめんね」

「俺は心配したくてしてますから。来たくてここにも来てるし自分の意思なので槇村さんは気にしないでください。こんな楽しい思いもできて最高ですから」

「ありがとう」 

「あっちのアーケードに行きませんか?」

「うん」

着替えを済ませ、私たちは歩き始めた。
今回は旅行も兼ねてしまったから部のみんなへお土産を買っていこうと思うと話すと2人で買いましょう、と提案してくれた。
2人でぶらぶら歩いていると天然石やほたる石、サンゴなどを使ったアクセサリー屋さんがあった。私が目を引かれていることに気がつくと大介くんは自らそのお店に入って行った。

「大介くん、見ていいの?」

「もちろんです」

私は家族やさとか、梨花ちゃんへのお土産をここで数店購入した。
自分の分も、と思ったけど今回かなり出費がかさみ悩んでしまった。
それでも欲しくて小さなヘアピンだけを購入した。

お店を出て、また歩いていると小さなサーターアンダギーのお店を見つけた。
大介くんと2人顔を見合わせるとそのお店に入って行った。
小さなお店でおばあちゃんが1人で揚げていた。
こんな小さなお店なのに中には数人のお客さんがいて、私たちの後ろにもすぐにお客さんが入ってきた。
メニューには色々な味があったが大堂の紫芋とプレーンを注文した。2人で半分に分けて食べるがどちらもとても美味しい。

「穴場でしたね。めちゃくちゃ美味しい」

「本当。街歩きしてるとこういういいことがあるんだね」

「そうですね。旅行の醍醐味ですよね」

2人でお土産を買い、空港へ向かうといい時間になった。
チケットの発券をするときにカウンターで声をかけたら席を変えてくれ、私と大介くんは隣同士にしてもらうことができた。

飛行機の乗り継ぎもだけど経由する分時間もかかるので少し苦痛に感じていたけど大介くんと話しているとあっという間に時間が過ぎて、終わってみればとても楽しい旅行になっていた。

空港で分かれる時に大介くんから小袋を手渡された。袋を開けてみるとあのアクセサリーショップで悩んでいた淡水パールと珊瑚でできたピアスだった。

「ありがとう。高いのにごめんね。これもらった後だと出しにくいんだけど、これは私からありがとうの気持ち」

私も袋を取り出し、大介くんに渡した。
琉球ガラスのコップで、大介くんにはこれでビールを飲んでもらいたいと思い購入したものだった。

「ありがとうございます。すごい嬉しいです」

リュック一つの大介くんに荷物を増やすのは申し訳なく感じたけど、喜んでくれてよかった。

「また明日ね!」

「また明日」

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