妄想ファンタスティック
ささやかなる便り
ポストを開くと、友人から暑中見舞が届いていた。見ると涼やかな白い蕾がパッと開いた花のイラストが点々と描かれている。

「ご機嫌いかがですか?暑いのが苦手な貴方に少しでも涼みをあげられたら」

彼女の姿そのままを表すようなスラッとした筆跡で記されている。確か実家に帰ったのかな?と思う間もなく呼鈴が鳴る。不思議な胸騒ぎを覚えつつドアを開けるとイラストよりも鮮やかな白のワンピースに身を包んだ彼女が立っている。

「来ちゃった。」

伏し目がちにこちらを窺う彼女。驚きと胸の高鳴りに困惑しながら返す言葉を考える−。
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