嘘は溺愛のはじまり

――ふざけるな。

そう怒鳴ってやろうかと思ったけれど、そんなことを言っている場合ではなかった。

行きつけの店のマスターなんかに相談するぐらいだ、結麻さんはきっととても困っているんだろう。


仕事なら、いまちょうど秘書補佐を探しているところだ。

叔父もそれを知っているから俺に声を掛けてきたのだと思う。

叔父の人を見る目は確かだから、彼女にこの仕事を任せることは恐らく全く問題は無いだろう。


あとは、住むところ、か……。

どこかのマンションの一室を紹介することもできるけれど、と思案する。


いや、それは俺が嫌だ。

女性のひとり暮らしとか、どんな危険があるとも知れない。

そんな危険な状況下に彼女を置くなんてことは、絶対に出来ない。

それに……出来ればもう少し近くに――俺の目の届く距離に居て欲しい……。


そんな自分勝手な考えしか頭に浮かばず、そしてそれだけを唯一の答えとしてしまう俺の頭は、少しおかしくなってしまっているのかも知れない。


多少強引ではあるけど、もし彼女が首を縦に振ってくれたなら……。


「和樹さん、お願いがあります」


俺は叔父に頼んで、彼女をカフェに呼び出して貰うことにした――。

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