何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。



「美味しい」


「そうか、良かった」



当たり前のことだけれど、いつも隼輔中心の生活で隼也と会っていても何かあるとすぐ隼輔優先になってしまう。だからこんなにゆっくりと隼也と過ごすのが久しぶりすぎて、どこか慣れない気持ちがあった。



「……今日、仕事終わりに実家に帰って両親に会ってきた」


「え、そうなの?」


「あぁ。舞花のこと、隼輔のこと。全部話してきたんだ」


「えっ……それで、ご両親はなんて?」



ゴクリと唾を飲み込むと、隼也は思い出しているのか



「父親には思いっきりグーで腹ぶん殴られて、母親にはビンタくらった」



とお腹を摩りながら笑った。


言われてみれば頰が少し赤いような……。


引き攣った笑みを返すと、



「でも、言いたいことはちゃんと言えたし、舞花のことも昔から知ってるからそれ以上はお咎めなしだった」



なんてことなさそうに笑う。



「そ、っか……」


「むしろ、今すぐにでも舞花の両親のところに謝りに行くって言って聞かなくて」



そりゃあいくら隼也が知らなかったとは言え、いきなりそんな話をされたらご両親もそうなるのも仕方ない。


全ての発端は私なわけで、申し訳なさでいっぱいになる。


でも、私の両親にはまだ隼也のことを話していなかったから正直止めてくれて助かった。


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