猫目先輩の甘い眼差し
「先輩っ、大丈夫ですか⁉ 動けます⁉」
「ううっ、重い……」
犬まみれになっている一ノ瀬先輩の元に急いで駆け寄った。
下には寝転がっている小型犬。
両脇には髪の毛にかぶりついている中型犬。
そして背中には、大型犬が遊んでほしそうに乗っかっている。
猫だけかと思ったら、犬にも効果抜群なの⁉
まだ会って数分しか経ってないのに……。
「市瀬さん、助けて……」
「は、はいっ!」
一体どんな手を使ったんだろう。
そう観察しながら犬達を1匹ずつ離した。
✾✾
30分間による施設見学が終了し、休憩時間に。
トイレに行った親達を見送り、説明会が行われた教室に戻った。
「嬉しい災難でしたね」
「はははっ。まさか抱きつかれるとは思ってなかったよ」
部屋の隅っこで、犬の毛が貼りついた先輩の背中を粘着クリーナーでお掃除。
使うかなと思って一応持ってきたけど、まさか一ノ瀬先輩に使うことになるとは。
もう少し大きいのを持ってくれば良かったかも。
「今どんな感じ?」
「半分取れたところです」