猫目先輩の甘い眼差し
プールの中に入り、水面に背を向けて構える選手達。
そしてもう1度笛が短く鳴り、全員が一斉に泳ぎ始めた。
「頑張れー!」
「いけー!」
観覧席から声援がバンバン飛び交う。
月香ちゃんによると、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ、クロールの順番で、一ノ瀬先輩は最後に泳いだとのこと。
樫尾くんと同じアンカーなんだ……。
どっちも応援するとは言ったけれど、もし2人が僅差で争うことになったら複雑だな……。
応援すること数分。いよいよ樫尾くんの番がやってきた。
バタフライで帰ってきたクラスメイトが壁に手を付くと、綺麗なフォームでプールに飛び込んだ。
水しぶきを上げながら力強く進んでいく。
「おおー! すごーい! どんどん差縮まってる!」
「本当だ。このままいくと最初にゴールしそう」
口に出した通り、25メートルで折り返したタイミングで頭1個分前に出た。
そして、どんどん差を離し、本当に1位でゴールしてしまった。
一ノ瀬先輩に続き、樫尾くんまで。バイク同好会強いなぁ。