猫目先輩の甘い眼差し


「なんでそっぽ向くの?」

「だって、この角度だと二重顎が……」

「大丈夫。なってないよ」



優しい声が下から聞こえたかと思えば、頬を撫でられて、体がビクッと揺れる。

さらに。



「あ、世蘭ちゃん、ここにほくろあったんだね」

「っ……!」



指先で顎下のラインをなぞられ、声が出そうになるのをこらえた。


もう、なんなの。
甘えん坊なのか意地悪なのか、どっちかにしてくださいよ。

ただでさえこのシチュエーション、顔から火が出るほど恥ずかしいのに……。


唇を噛みしめて睨みつけたものの、遊ぶ手は止まらず。

今度は頬をツンツンしている。もちろん、とびきり甘い笑顔で。


これ以上は耐えられない……っ。



「はい! もうおしまいです! 3分経ちました!」

「ええっ? まだ経ってないでしょ」

「った、楽しい時間は早く終わるって言うじゃないですか! だからもう終わりですっ!」



何度も体を叩いて強制的に起き上がらせる。

膝の上の重みがなくなった瞬間、ホッとして体の力が抜けた。
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