猫目先輩の甘い眼差し


「さっき言われたこと、気にしてるんですか? 大丈夫ですよ。本当に警戒してるなら、何回もやり取りしないはずです」

「そう……?」



顔に表れていたようで、胸の内を見抜かれてしまった。


動物部は他の部活よりも人数が多いため、その分色んな性格の人が集まっている。

中でも市瀬さんは、輪の中心にいるタイプではなく、少し離れた場所でみんなに話を振るようなタイプ。

性格も基本穏やかで、感情の起伏も、他の人に比べてそこまで激しくない。


だからこそ、我慢してるんじゃないかって心配なんだ。



「自信持ってください。もしかして、何か変なことでも言っちゃったんですか?」

「……うん」



これまでのやり取りを振り返る。


部長という立場を考えて、威圧感がないように言葉選びは気をつけてきた。

1回だけ誤字だらけの返事をしたけれど、それ以外は大丈夫。


と思ったんだけど……。



「『不思議な縁があるね』って、言っちゃったんだよ」

「縁?」

「うん。共通点が多いからさ」



同じ学校、同じ部活、同じ猫好き。
帰り道も途中まで一緒だし、生まれた日も同じ2日。

それから…………まぁとにかく、運命なのかな? と感じて、何気なく送ってしまったわけだ。
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