猫目先輩の甘い眼差し


靴を脱いで洗面所に向かう。


4千円のシャーペンと、姉ちゃんからの新しい弁当箱と、その次はお小遣いか。愛されてるなぁ。


手を洗い、荷物を自分の部屋に置いてリビングへ。



「おぅ、おかえり」

「っ、ただいま……」



ドアを開けた瞬間、ソファーでプリンを食べている父に遭遇した。


あぁビックリした……いたのかよ。



「兄ちゃんは? いないの?」

「まだ帰ってきてない。何か伝言でもあるの?」

「いや、別に。さっき由宇が、兄ちゃんにお小遣いもらったって言ってたから……」

「ええっ? また?」



言い終わる前に反応した父。

でも怒ることはなく、「本当あいつは……」と笑っている。


傍から見たら、少し甘やかしているようにも思えるのだろうけど……。

うちの家庭は少し特殊なので、こういうのは日常茶飯事なのだ。


冷蔵庫からお茶を出して飲む。

すると。



「なぁ、今度のオープンキャンパス、お父さんも一緒に行っていいか?」

「えっ、いいけど……行けるの?」

「一応休みだし。招集かかったらあれだけど」

「わかった……」
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