婚前契約書により、今日から私たちは愛し合う~溺愛圏外のはずが、冷徹御曹司は独占欲を止められない~
宗一郎が優しくささやく。
「ずっと奈子のそばにいたい。いつもいちばんにきみを思うし、なによりも大事にする。だから奈子も、どうか永遠に、俺だけに恋をしていてほしい」
奈子は眉を寄せた。
そうしていないと、今にも泣きだしそうだった。
じっと固まって動かない奈子の背中を、宗一郎が抱き寄せる。
「奈子がうなずいてくれないと、続きができない。エメラルドのエンゲージリングでプロポーズをして、新婚旅行はグレトナ・グリーンに行くんだろ。それから結婚式もしよう、ふたりで」
奈子はついに口をきいた。
「スコットランドなんて、子どもが大きくならないと行けないです」
「いいよな、三人で行こう」
宗一郎が奈子のおなかに話しかけている。
パッと立ち上がって奈子を腕の中に閉じ込め、涙の浮かんだ目尻にキスをした。
奈子は宗一郎の背中にしがみつく。
「じゃあ、好きって言って」
小さくつぶやいて宗一郎を見上げた。
「私のこと、好きって言ってください」
「なんだ、この俺に二度もプロポーズをさせたのに、ずいぶん弱気だな」
宗一郎がちょっと笑って、キスをする。
「好きだよ、奈子。俺はきみを愛してる」
それで奈子の薬指には、ふたりで選んだマリッジリングと重ねて、エメラルドのエンゲージリングが光ることになった。
【完】


