今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~
 使用人たちは、支柱の陰にいる私の存在には気づいていないみたいで、なおもひそひそと話を続けている。
「これからこのお屋敷はどうなってしまうのかしら?」
「それなんだけど、やはり侯爵位とお屋敷は旦那様の弟君が継がれるようよ」
「むむむ。旦那様の弟君と言ったら規律厳守、手落ちがあれば部下ですら問答無用で切り捨てる冷酷非道の騎士団長じゃないか。そんな人の下じゃ、これまで通り楽はできないな」
「最悪ね。社交場に入り浸りの旦那様と奥様がほとんど寄り付かないから、このお屋敷は緩くって気に入っていたのに。そんな人にキュウキュウに締め付けられながら魔力持ちの気味悪いリリーお嬢様の世話に振り回されるなんて冗談じゃない! 私、早々に違う働き口を探すことにするわ!!」
 ちなみに『気味悪いリリーお嬢様』と発言したのは、ほとんど私の世話もせず、暇さえあれば男性使用人とリネン室で遊んでいる名ばかりの養育係だ。
 しかし、彼女の辞職宣言も、両親の死すらも、私にとってはどうでもいいことだった。
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