真夜中に恋の舞う
「は、はい……」
私が頷いたのを見て、少し前を歩き出す彼の後ろ姿を見つめる。
思ったよりも広い背中、高い身長、きらきらした髪、可愛い襟足、あまりにも全てが好きすぎる。
私より大きな歩幅も、思いはずのバッグを軽々持っているところすら、格好いいと思ってしまう。
昇降口で靴を履き替えて、駅に向かう道を並んで歩く。
いつもの通学路を犀川くんと歩いているのはとても変な感じで、すれ違う人たちの視線も感じる。
だけどそんな周りの景色も目に入らないくらい、頭の中は犀川くんでいっぱいだ。
「萌乃ちゃん、今日って暇?」
「っ!?」
突然振り返って呼ばれた名前に、目を丸くする。
待って、今、萌乃ちゃんって……。
胸がぎゅんと締め付けられて、もはや苦しい。
「……聞いてる?」
「聞いてませんでした……」
名前を呼ばれたことに気を取られて、あとの言葉が何も入ってこなかった。
おろおろする私を見て、余裕たっぷりにクスリと笑う犀川くん。