真夜中に恋の舞う
「じゃあ、帰ろうか」
歩き出す犀川くんに、おとなしくついて行く。
外は夕暮れで、オレンジみたいなピンクみたいな色の空が綺麗だった。それに照らされてきらきら透けるような犀川くんの髪のほうが、もっと綺麗だったけれど。
「ねえ、犀川くん」
「なに?」
「生徒会忙しそうだし、別に毎日家まで送ってくれなくてもいいんだよ」
「俺と帰りたくないの?」
「そういうわけじゃ、ないけどさ」
「俺の唯一の癒しの時間なんだから、奪わないで」
王子様みたいな笑顔で、犀川くんが言うから。
そのまま私の右手を犀川くんの左手が握って、自然に指を絡めるから。
悔しいくらい、きゅんとしてしまった。
本心なのか、揶揄っているだけなのかわからない。
わからないけど、そんなことを言われたら、これ以上抵抗もできなかった。