真夜中に恋の舞う



「ねえ、手……」




繋がれた手のまま犀川くんが歩き出す。

さすがに学校の中で、誰が通るかもわからないところで手を繋ぐのは恥ずかしくて、離そうとしたけれど。




「んー?」




犀川くんは何でもないみたいな顔をして、私の手を握る手に、ぎゅっと力を込めた。


胸の辺りが、苦しいくらいぎゅんと締め付ける。


こんなの、ずるい。好きにならない方が無理だ。




結局、下駄箱まで手を繋いで降りて、靴を履き替えるために手を離して、そこからは手を繋がなかった。



不思議なもので、一度触れてしまったら、もう一度触れたいと思ってしまう。それすらも犀川くんの策略だったのかもしれない。




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