ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
「まま、くるしいよ」

「あ、悠真ごめんね、痛かったね」

無意識のうちに悠真をギュッと抱きしめていた。

なんで亮真さんがここに…?
偶然ここに来たのかしら…?そんなはずないわ。
やっぱり、旅館には涼真さんもいらっしゃるのね。

亮真さんと会ったあと、持ってきたお弁当を食べたりしたはずなのに、何をしたのかほとんど覚えていなかった。


‪‪❀


「ままぁ?おーちついたよ」

「ん、?あ、自転車降りようね。」

ぼーっと頭が回らず、家に着いたのにも気が付かなかった。

「まま、だいじょーぶ?」

「うん、ままは元気だよ!」

悠真にも心配させるなんて。母親失格ね。

自転車から悠真を下ろす。

丁度父が、外で駐車場の掃除をしているところだった。

「お、悠真おかえり。どうだ?公園は楽しかったか?今度はじーじとも行こうな」

「ぼくたっくさんあそんだよ!うさぎさんにもあったの」

「そうかそうか、良かったな。さくらも疲れただろ。少し休憩してなさい。」

「お父さんありがとう。私は全然大丈夫だから、お母さん手伝ってくるね」

そういって、先に家に入った悠真を追いかける。

「まま、ぼくじぶんでおててあらってきたよ!」

「悠くん偉いね。まま、おばあちゃんのとこ行くけど悠くんも一緒に行こうか?」

「うん、おばあちゃんにうさぎさんのおはなしするんだ!」

沢山遊んできたのに元気いっぱいの悠真。

そのまま走ってキッチンへ向かう。

お茶を買ったあと少し眠っただけなのに、子どもの体力は底なしだ。




「おばーちゃんただいまー!」

「あら、悠くんお帰りなさい、公園楽しかった?」

「うん、ぼくうさきさんとあそんで、それからブランコもして……」

今日の公園での出来事を説明する悠真。目がキラキラしてて、すごく楽しんでくれてたことが分かる。

「それは良かったわねぇ。おばあちゃんも行きたかったわぁ。今はちょっと遊べないから悠くん、そこの机で遊んでられるかな?」

「うん、ぼくおえかきしてる!」

そういってキッキンの隅にある机でお絵描きを始める。いつも私がキッチンで仕事をしている間、悠真はそこに座って一人で遊んでいるのだ。
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