ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
「さくらもおかえり。疲れただろうから休憩してていいのに」

「ううん、全然大丈夫!もうそろそろお客さん来ちゃうじゃない。できることは終わらせておかないと」

そう言ったのは建前で、何か体を動かしていないと、さっきの亮真さんのことが思い浮かんでしまうのだ。

「そうね、そろそろ来る頃かしら。私、お出迎え行ってくるから、さくらは、料理の下ごしらえお願いしてもいいかしら」

「分かった。みんな忙しいだろうから軽食もまとめて作っておくね」

「助かるわ」

そういってキッチンを出る母。それと反対に、怜斗くんが入ってくる。

「お、さくら帰ったのか。悠真もいるじゃないか。悠真〜おじさんの絵も描いてくれよ」

「じゃあつぎはれーとおじさんかくね!」

怜斗くんは私より8歳年上で、近所の酒屋さんをお父さんから継いで、2代目として営んでいる。

旅館で出す酒類は全て怜斗くんのお店から卸しているので、こうして会うことも珍しくない。

幼い頃から、近所で頼れるお兄さんという感じで、私自身もよく遊んでもらっていた。

それが今となっては自分の息子とも遊んでもらっていて、怜斗くんにはとても感謝している。

「今日、たくさんお客さん来るんだってな。
今日はお店もうおしまいだから俺もできることなら手伝うよ」

「え、本当に?助かる!」

「ねー、れーとおじさん、ぼくとあそぼうよ」

机で遊んでいる悠真が、怜斗くんを誘う。

「ごめんさくら、俺には悠真の方が大事だ」

そう言って、悠真と一緒に遊び始める。

手伝うと言っておいて、一瞬で裏切るなんて。
まぁ、悠真も楽しそうだしそれはそれで良かったかな…?

怜斗くんと遊んで、キャッキャっと楽しそうに笑う悠真を横目に作業を進める。
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