ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
次から次へと遊具を走り回って疲れたのか、悠真が私の元へやってくる。

「ままーおちゃちょうだい」

「悠くんたくさん遊んだね。カバンの中にあるからちょっと待ってね」

そういってカバンを探るが、入れたはずの水筒がない。キッチンに置いてきたのかもしれない。

「悠くん、ちょっとままお茶買ってくるね。
1人で待ってられる?」

「ぼくもいっしょにいく!」

「じゃあちょっと歩くけど一緒に行こうか」

自動販売機まで手を繋いで歩いていく。

疲れたのか、こころなしか歩みがゆっくりになる悠真。

「悠くん疲れちゃった?」

「ちょっとねむい…」

「抱っこしようか?」

「うん、だっこ」

少し重くなった悠真を抱き上げて歩く。

しばらく歩いていると、右手に自動販売機が見えてきた。

「お茶でいいかな…」

お金を入れて、ボタンをおそうとしたが、段差の上に設置されていた為、少し高いところにあった。

悠真を片手で抱きながら何とか手を伸ばす。

すると、後ろから誰かの手が伸びてきてボタンを押してくれた。

「あ、ありがとうございま…」

お礼を言おうと思って振り返ると、何度も、何度も見た顔があった。

『どうしてここに……?』

宮代 亮真。
宮代コーポレーションの御曹司。
そして、悠真の父親。

四年越しに見るその容姿は、相変わらず見る人を惹きつけ、離さない。

「これ、どうぞ」

取り出したペットボトルを渡してくれる。

「あ、ありがとうございございました」

顔を下に向け、急いでその場を去ろうと背を向ける。

「あ、あの…すみません」

彼に後ろから声をかけらる。

「はい?」

「いえ、すみません。私の知り合いかと思ったのですが人違いでした」

そう言って、彼は私に背を向けて、反対側へ歩き始める。

ドキドキドキドキ…

心臓が震えている。
彼をみて、またときめきそうになっているのか、それとも逃げたのにまた出会ってしまったからなのか。自分でもわからない。

とりあえず急いでその場から離れる。

彼となるべく距離を取ろうと、遠くまで。

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